最初のプログラム
今回はMetaEditorを使って、MQL5で最初のプログラム(Hello World)を作成します。このプログラムは、MetaTrader 5 (MT5) でMQL5の基本的な構文を学ぶためにとても役立ちます。初心者向けに、どのようにMetaEditorを使ってスクリプトを作成し、実行するのかをステップバイステップで説明します。
ステップ 1: MetaEditorを開く
まず、MetaEditorを開きます。MetaTrader 5 (MT5) をインストールしている場合、MetaEditorはMT5の一部としてインストールされています。MetaEditorを開くには、MT5のメニューから「MetaEditor」を選択するか、デスクトップのショートカットを使用してMetaEditorを起動します。MetaEditorは、MQL5でコードを作成・編集・デバッグするための統合開発環境(IDE)です。
ステップ 2: 新しいスクリプトを作成
MetaEditorが起動したら、メニューの「ファイル」→「新規作成」を選択します。新しいウィンドウが表示されるので、作成するアイテムとして「スクリプト」を選択し、次に「次へ」をクリックします。これにより、スクリプトを作成するためのウィンドウが表示されます。
スクリプトとは、MetaTrader 5プラットフォームで一度だけ実行されるコードのことです。エキスパートアドバイザー(EA)とは異なり、スクリプトはトレードや注文の自動化ではなく、特定のタスクを実行するために使います。例えば、チャートにメッセージを表示したり、データをファイルに書き出したりすることができます。
ステップ 3: スクリプトの名前を入力
次に、スクリプトに名前を付けます。「名前」欄に「Scripts\HelloWorld」と入力してください。これにより、新しいスクリプトファイルが「HelloWorld.mq5」という名前で作成されます。名前を決めたら、「完了」ボタンをクリックして新しいスクリプトの作成を終了します。

ステップ 4: コードを入力
新しく作成された「HelloWorld.mq5」ファイルがMetaEditorに表示されます。ここに以下のコードを入力します。
//+------------------------------------------------------------------+
//| HelloWorld.mq5 |
//| |
//| |
//+------------------------------------------------------------------+
#property copyright ""
#property link ""
#property version "1.00"
//+------------------------------------------------------------------+
//| Script program start function |
//+------------------------------------------------------------------+
void OnStart()
{
//---
// "Hello, World!" を出力ウィンドウに表示
Print("Hello, World!");
}
//+------------------------------------------------------------------+
このコードは、MQL5の基本的な構文を示しています。void OnStart()
はスクリプトが実行されるときに最初に呼び出される関数です。Print("Hello, World!");
は、MT5の「出力」ウィンドウに「Hello, World!」というメッセージを表示します。このメッセージを出力することで、スクリプトが正しく動作していることを確認できます。
ステップ 5: スクリプトをコンパイル
コードを入力したら、ツールバーの「コンパイル」ボタン(または「F7」キー)をクリックしてスクリプトをコンパイルします。コンパイルとは、コードを実行可能な形式に変換する作業です。コンパイルが成功すると、エラーメッセージが表示されることなく「完了」のメッセージが表示されます。エラーが表示される場合は、コードの記述ミスをチェックしましょう。
コンパイルが無事に完了したら、次はMT5でこのスクリプトを実行してみましょう。
ステップ 6: スクリプトをMT5で実行
MT5を開き、「ナビゲーター」ウィンドウに移動します。ここに、作成した「HelloWorld」スクリプトが表示されます。スクリプトをドラッグして、任意のチャートにドロップすることで実行できます。すると、「出力」ウィンドウに「Hello, World!」というメッセージが表示されるはずです。

これで、MQL5の基本的なスクリプトの作成と実行が完了しました。もし「出力」ウィンドウにメッセージが表示されない場合は、コードや操作に誤りがないか再確認してみましょう。
まとめ
これで、MQL5を使った最初の「Hello World」プログラムが完成しました。このような簡単なプログラムを作成することで、MQL5の基本的な動作を学ぶことができます。今後は、条件分岐やループを使った複雑なプログラムに挑戦してみましょう。
用語集
用語 | 説明 |
---|---|
MetaEditor | MetaTrader 5 (MT5) のためのプログラミングツール。MQL5コードを作成・編集・コンパイルするために使用。 |
コンパイル | コードを実行可能な形式に変換するプロセス。 |
出力ウィンドウ | プログラムが出力した情報を表示するMT5のウィンドウ。 |
OnStart() | MQL5のスクリプトが実行される際に最初に呼ばれる関数。 |
Print() | 指定したメッセージを「ターミナル」ウィンドウに表示する関数。 |
#property | MQL5コードにおいて、ファイルに関するメタデータを指定するためのディレクティブ。これを使用して、プログラムの基本情報(バージョン、著作権、リンクなど)を定義することができます。 |
copyright | プログラムの著作権情報を指定するためのプロパティ。通常、開発者や組織名が記載されます。 |
link | プログラムに関連するウェブサイトやリンクを指定するためのプロパティ。例えば、プログラムの詳細ページや関連するリソースのURLを指定します。 |
version | プログラムのバージョン番号を指定するためのプロパティ。バージョン番号を設定することで、後でプログラムのアップデートや修正を管理しやすくなります。 |
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