条件分岐(if文、else文、switch文)
MQL5における条件分岐は、プログラムがどのように異なる処理を実行するかを決定するために非常に重要です。特定の条件を満たした場合にのみ実行される処理を指定することで、プログラムを柔軟かつ効率的に制御することができます。MQL5では、主にif
文、else
文、switch
文という3つの方法で条件分岐を行います。それぞれの文の使い方とその特徴について解説します。
if文
if
文は、条件が満たされた場合に特定の処理を実行するために使用される最も基本的な条件分岐構造です。条件が真(true
)である場合に、指定されたコードブロックが実行されます。もし条件が偽(false
)であれば、次のelse
文に進むか、処理をスキップします。
基本構文:
if (条件式) {
// 条件が真の場合に実行する処理
}
使用例:
int iValue = 10;
if (iValue > 5) {
Print("iValueは5より大きい");
}
上記の例では、iValue
が5より大きい場合にメッセージが表示されます。もしiValue
が5以下であれば、このif
文の内部の処理は実行されません。
else文
else
文は、if
文の条件が偽(false
)であった場合に実行される処理を指定するために使用されます。if
文と組み合わせて使うことで、2つの選択肢のうち1つを選択することができます。
基本構文:
if (条件式) {
// 条件が真の場合に実行する処理
} else {
// 条件が偽の場合に実行する処理
}
使用例:
int iValue = 3;
if (iValue > 5) {
Print("iValueは5より大きい");
} else {
Print("iValueは5以下");
}
この場合、iValue
が5以下であるため、else
ブロックが実行され、「iValueは5以下」というメッセージが表示されます。
else if文
条件が複数ある場合、else if
を使用することで、複数の条件を順番に評価することができます。最初の条件が偽であった場合に、次の条件を評価し、それに該当する場合の処理を行います。これを繰り返すことで、複数の条件に対する柔軟な分岐処理が可能です。
基本構文:
if (条件式1) {
// 条件1が真の場合に実行する処理
} else if (条件式2) {
// 条件2が真の場合に実行する処理
} else {
// すべての条件が偽の場合に実行する処理
}
使用例:
int iValue = 10;
if (iValue > 20) {
Print("iValueは20より大きい");
} else if (iValue > 5) {
Print("iValueは5より大きく、20以下");
} else {
Print("iValueは5以下");
}
この例では、最初の条件(iValue > 20
)が偽であり、次にiValue > 5
が真なので、「iValueは5より大きく、20以下」というメッセージが表示されます。
switch文
switch
文は、複数の選択肢の中から1つを選んで処理を実行するために使用します。switch
文は、特定の変数の値に基づいて複数のケースを評価し、対応する処理を実行します。通常、数値や文字列といった定数に基づく分岐を行います。
基本構文:
switch (変数) {
case 値1:
// 値1に一致する場合に実行する処理
break;
case 値2:
// 値2に一致する場合に実行する処理
break;
default:
// いずれの値にも一致しない場合に実行する処理
}
使用例:
int iValue = 2;
switch (iValue) {
case 1:
Print("iValueは1です");
break;
case 2:
Print("iValueは2です");
break;
case 3:
Print("iValueは3です");
break;
default:
Print("iValueは1, 2, 3ではありません");
}
この場合、iValue
が2なので、case 2:
の処理が実行され、「iValueは2です」というメッセージが表示されます。
break文とdefault文
switch
文内で使用されるbreak
文は、現在のswitch
文の実行を終了させるために使用されます。default
文は、すべてのcase
に一致しなかった場合に実行される処理を指定します。
条件式の論理演算
if
文やswitch
文で使用する条件式は、単一の条件だけでなく、複数の条件を組み合わせることも可能です。AND
(&&
)、OR
(||
)、NOT
(!
)などの論理演算子を使用することで、より複雑な条件を指定できます。
まとめ
MQL5における条件分岐を活用することで、プログラムが柔軟に異なる処理を実行することが可能になります。if
文、else
文、switch
文を使いこなすことは、効率的なプログラムの作成に不可欠です。これらを適切に使い分けることで、取引戦略や自動売買のロジックをより複雑かつ効果的に設計することができます。
用語集
用語 | 説明 |
---|---|
if文 | 指定した条件が真であれば、特定の処理を実行する条件分岐構文。 |
else文 | 条件が偽の場合に実行される処理を指定する文。 |
else if文 | 複数の条件を順番に評価し、それぞれに対応する処理を実行する条件分岐構文。 |
switch文 | 指定した変数の値に基づいて、複数の選択肢の中から1つを選んで処理を実行する分岐構文。 |
break文 | ループやswitch文の実行を途中で終了させる文。 |
default文 | switch文において、いずれのcaseにも一致しなかった場合に実行される処理を指定する文。 |
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